ある日ある時、それはいなくなっていました。






生徒会室まであともう少し。



ルルーシュは、階段の踊り場で一旦荷物を降ろした。


どすっと重い鈍い音が静かな放課後の廊下まで響いた。



約3キロの荷物は頭脳派のルルーシュには重すぎた。

現に顔に薄く汗を掻いている。


(全く会長は・・・)


職員室に用事があって出てきたところ、ばったりと会長と会ってしまった。


『あらルルーシュ!いい所にいたわ〜
 これ生徒会室までお願い!!』

そういってその場にダンボールを置いてどこかに走っていってしまった。





(おかしい・・・)

最初ミレイがこの箱を持っていたとき、この箱はそれほど重そうに見えなかった。

ところが、ミレイの姿が見えなくなってその箱を持ち上げようとした瞬間、ルルー
シュに異変が起きた。BR>
「・・っ!・・・なんだこの重さは・・・!」

ルルーシュが驚くのも無理はない。

その箱には屋上ガーデン用のレンガがぎっしり詰まっているのだ。


普通の人間でさえ結構重いと感じる重さなのだ。

これを三階の生徒会室まで一人で運ぶ。


(無理だ・・・)

今日は2学年での美術鑑賞の日。

ルルーシュはサボっていたが、リヴァルやシャーリーなどの生徒会メンバーは全員
今美術館にいるはずだ。

よって助けてくれる仲間はいない。


ルルーシュは暫く悩んだが悩んでいてもしょうがないので荷物を生徒会室に運ぶこ
とにした。




時刻はもう夕方。


踊り場の窓から外を見ると数人の生徒が慣れない手つきで鎚や鋸などの日曜大工品
を扱っていた。



(学園祭の準備か・・・)


もうすぐ学園祭が始まる。


(去年のあの忙しさから考えると、今年はなるんだろうか・・・・)


ルルーシュの経験論から言って今年は去年より凄いものになるだろう。


なんといっても今年はあのミレイ・アッシュフォードが会長だ。

今年は誰と学園祭をまわろうかー


「・・・っ!?」
その時ルルーシュの頭の中に一瞬何かが通りすぎた。


『・・・へえ〜学園祭か、おもしろそうだね・・・』

モノクロの世界の中。
そういって誰かが笑った気がした。



「今のは・・・なんだ・・・?」

見たことがない。

聞いたことがない。



今の記憶に思い辺りがない。


まるで誰かの記憶を見せられた気がする。



ふと床に眼をやるとさっきの荷物があった。


そういえば前もこんなことがあった気がする。


そのときも会長に荷物を頼まれて・・・



『・・・ルルーシュ?それは・・・ああ、分かった。手伝うよ・・・』


「・・・・っ!またっ・・・」


でも今度のはさっきのよりその人物がはっきりとしてきている。

それは何かをだんだん取り戻していくように。



「・・・いったい何なんだ・・・」



さっきの映像を思い出そうとしてみたら、頭に激痛が走った。


「っつ・・・・」


痛みに顔を歪めたが、また何かが頭に流れた。


その一瞬にだけ色があった。






その途切れ途切れの記憶に一瞬だけ











銀色が映った。

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