ライ観察日記

    ライがアッシュフォード学園に来て一週間が経過した。
 今のところ彼について分かっていることは「名前」のみ。
 生まれたところや親や友人、自分のことさえ何一つ覚えていない。
 だが彼は不思議なことに、あいさつやはしやフォークの使い方、ブリタニア
 や日本の歴史など、最低限生活できる程度の知識はある。
 生活慣から、「一時的な記憶喪失」ということで皆納得している。
     少しやせ気味の儚さを感じさせる体格と背丈、透き通る白い肌と銀の髪、
 蒼の瞳はただ無機質にどこかを見ている。
 さらに機会のように無表情なことが多いので、第一印象は整ったな人形のよ
 うに思える。
  生徒会メンバーと過ごしてきて一週間、ようやく喜怒哀楽の2つ位は表情を見
 せてきた。
  生徒会室で、カリカリとシャープペン忙しなく動かしていた手を止めミレイは
 ぼそっとつぶやいた。
 「ようやく、なれてきたって感じかなー」
 「ライのことですか?」
  まとまった書類を束に分けていた、ルルーシュは顔を上げた。
 書類整理のため、副会長であるルルーシュは黙々と作業をしていた。
  いつも生徒会室にいるはずのライがここにいないのは、会長に頼まれて買い物
 に行っているからだ。
 (そういえば・・・会長がまじめに仕事している所を久しぶりに見た気がする)
  ライが来る前から仕事をサボりがちだった会長はライが来てから仕事をほとん
 どしていない。
  ライも最初は見ていただけだったが、そのうち仕事を手伝うといってきて、わ
 ずか三日しかここで暮らしていなかったのにもかかわらず、リヴァルの一週間分
 の仕事をわずか5時間ですべて終わらせた。
    それからライが会長の分の仕事をやっていたので、その代わりに会長は今期の
 学園イベントを楽しそうに考えていたのをよく覚えている。
 またくだらない企画があるのかと考えるだけで頭が痛くなる。
   「そうよー。あったころよりはだいぶ慣れてきたわねー」
 「まあそうですね、というか会長はさっきから何をしてるんですか?」
 「まだ内緒よーv」
 このにこにこ顔をみると経験論では、このあと良くないことが起こる。
 ため息をついた。

   


 続きます