それから一ヶ月






結局ライは帰ってこなかった。



季節はもうすぐ冬。

ルルーシュは黒の騎士団の情報網、スザクは軍のデータ、ミレイはアッシュフォード
家独自の調査などそれぞれが出来る限りのことをした。


だが何も見つからなかった。


そもそもライはIDを持っていないということもあって正式な方法では探せなかった。


だが裏の勢力をもっても出てくるものは何も無い。


何も、無いのだ。




普通に調べれば目撃情報が少しはあってもいいのだが、全くでなかった。

まるで元から存在しないかのように。

これが意味すること、それはバックにブリタニア皇帝が付いているということになる。




ナイトオブラウンズでも分からないのだ。






(彼がいなくなったのは僕の所為かもしれない。)

スザクは人知れず自分を責めていた。


ライとあのことがあった日から彼は姿をくらませている。

だがスザクには謎が残っていた。

(ルルーシュは何を知っているんだろう?)


あの時結局学園に行ったがその日は見つからず自分はのんきに、『明日帰ってくる
』なんて根拠も無しに考えていたが、ルルーシュは違う。



なにかを知って・・・気づいて?、何か根拠でもあるようだった。

それよりも吃驚したのが、ルルーシュからの連絡方法だった。

皇帝直属の緊急連絡通路。




(もしかしたら何か関係があるのか?)
















ブリタニア離れの宮殿、許可されたものしか入れない秘密の隠れ家。BR>
そこは極秘の場所なので警備員も限られた人数しか配属されない。



ひっそりと佇む宮殿内の廊下を騒がしくコツコツという足音が響いた。


侵入者対策の為の内装は迷路のようになっている。

廊下一つにたくさんの扉があり、それぞれロックが掛かっていて、最初ここに来た
者はみな不思議な感覚に囚われる。




その人物は結った金髪を元気よく振りながら、ある部屋を目指していた。

そして目的のドアまで来ると、慣れた手つきで指紋照合・音声確認・8桁の数字
をすべて済ませ、大またで扉の中に入った。

「ジノ、ようやく来たね」

「V.V.、ライについて分かったことってなんだ?」

その部屋にいたのはV.V.と、ガラス管の中にいるライだけだった。

ジノはV.V.の隣までゆっくり歩いていった。



「ライが吸血鬼なのに、そう長い命じゃないって前に言ったのは覚えている?」

ジノは普段の笑みを消して、さびしそうに答える。

「ああ・・・、でもどうしようも無いんだろう?」


V.V.から以前はっきり言われた一言はジノの心にはっきりと残っている。

『ライはね、もうすぐまた眠りにつくんだ。』
その淡々とした口調で言われた言葉はよく覚えている。


「うん。だけどね、原因が分かったんだ。」

「・・・は?」


V.V.は淡々とした口調で続ける。


「彼には『呪い』がかかってるんだ」

「それが原因なのか?」

「うん・・・まあそうなるかな」

「というと?」

「君は頭がいいから会話が楽になるね

 その命を蝕む程の呪いは相殺する為のものみたい。」

(そうか・・・だからか・・・)

これでジノは大体のことが理解できた。


吸血鬼の教祖というまでなのに、なぜ彼は眠りに付かなければならなかったのだろう。

それは彼には吸血鬼という驚異的な体力に匹敵する呪いがかけられていたからだ。
では何故その呪いを解くことが出来なかったのだろう。

それは、『解くことが出来なかった』のではないからだ。

あえて『解かなかった』のだ。



ならば何故その呪いを解かなかったのだろう。

それは彼のなにかを打ち消したかったからだ。


なら、それは何だ。





「その相殺したものはなんだ?」

そういうとV.V.はにっこりと笑った。

「・・・さあ、本人に聞いて見なきゃ分かんないだろうけど

 この呪いの所為で暫くは動けないだろうし・・・


 まあ仕方が無いからこの呪いを解くしか方法は無いよね。」


V.V.はライを見上げる。

「解く?だいぶ古いものだし、彼が目覚めていない今、解けるとは思えないが。」
吸血鬼の改組にかかるくらいのものだ。

そう簡単に解けるはずが無い。

「そうだね、でも今からやる方法は、正しくは『解く』じゃない。



 戻すんだ。」




自信たっぷりにV.V.は言った。









































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