もう蝶は囚われた











その後暫くジノはV.V.と画面ごしに、にらみ合っていたがその後直ぐに転機が訪れた。


トリスタンの画面に新たな情報が映った。


「これは・・・ランスロット?」

V.V.はその言葉を聴いて、先ほどの笑みを消した。
『・・・ルルーシュか。』

「ルルー・・・?」

初めて聞いた言葉に・・・いや、確かそんな名前の貴族が・・・


いや違う。

ナイトオブスリーのスザクがその名前を言っていた気がする。


そしてランスロットは、猛スピードで学園に向かっているようだ。


『はぁ・・・困ったなぁ。』

そういう割りにV.V.は全く困ったように見えない。



んー、と人差し指を顎につけて悩むような仕草を見せる。






『そうだジノ、提案があるんだけど』












『ルルーシュ、一体どういうことなんだ?』

「本当は俺が行けばいいんだがな・・・」


ライが走って言った後、スザクが追いかけようとした時に、軍から連絡が入った。

今日は非番の日だったが、何かあったのかもしれないと急いで戻ってみるが、特に
仕事は無かった。


本人は後から分かることだが、勿論V.V.の仕業だ。





ルルーシュは表面には出さないが、とても焦っていた。

だが、感情に左右されること無くその場その場で最善の方法を探している。


何故、彼がすぐにライの正体に気が付いたのには色々理由がある。

確かに彼は黒の騎士団という大きな組織を動かせるほどの戦動力と力がある。

その天才的な頭脳を持っても、あの少ない情報だけでは『吸血鬼』まで導くことが
出来ないだろう。



だがルルーシュには色々と心当たりがあった。


前にライが倒れた時保健室に運ばれたことがあった。

その日はとても暑かったので熱中症だったようだ。



ルルーシュが温度を測ろうと、額に手を伸ばしたときそれは起こった。

『っ!!』

速すぎて普通の人間なら見えなかった。

ルルーシュの左手をコンマ一秒といっても冗談ではない速さでライのそれが掴んでい
る。

いつもの暖かい、優しい雰囲気が無かった。


そして何より驚いたのが目だった。

普段の優しい蒼が真っ赤な赤に変わっていた。





ルルーシュはゆっくり声を絞り出した。

『・・・疲れているんだろう?、だから今は』

そしてギアスを発動させた。

『  眠れ。 』


正直なところ、殺されるかと思った。

そしてある可能性が頭をよぎった。



ライはギアスのお陰で、直ぐに眠りについた。


そしてルルーシュはライを起こさないようにその場を離れた。


『まさか、な』






あの時すぐに行動を起こしていればこんなことはおきなかったはずだ。



「・・・」

『ルルーシュ?』

心配そうにスザクが声をかけてきた。

スザクが軍にいると、皇族関係の方からいきなり連絡が来た。

最初はユーフェミアかと思ったが、その緊急の連絡主は意外な人物だった。





てっきりルルーシュは皇族関係とは手をきっていたと思っていた。


だがそれに関しては説明は無く、ただ今すぐアッシュフォード学園に行ってくれと
彼は言った。



それほど焦っているのだろう。



「ところで何しに行けばいいんだい?」

『・・・ライを探してくれ』


「ライ!?彼に何かあったの!!」



『もしかしたら・・・可能性で言えば30%未満だが。』


あの後、彼に何かあったのだろう。


あの時、僕の指を・・・

そういってスザクは顔が熱くなるのを感じた。



『おいスザク、顔が赤いぞ?』



「い、いやなんでもないから!」

慌てて視線をずらしたので画面に移った情報をスザクは見逃していた。



トリスタンが今、離れの宮殿に付いたそうだ。











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