大切なものがすれ違ったとき








銃をお互いに向け合い睨み合う二人。

「ルルーシュっ!!!」
「スザクっ!!!」



(うそっ・・・なんで!!)

その場から逃げるようにして遺跡から出てきて海岸まで走ってきたカレンを待っていた
のは銀の騎士。

「えっ・・ライっ!」

カレンは驚きつつもライに走り寄った。



本来彼は今、ブリタニア側にいてランスロットクラブでスザクと二人でブリタニアの厚
き壁となり黒の騎士団の脅威となっているわけだが。



カレンが何よりも驚いたのはライがそこにいたからではなく、そのライが大きな遺跡の
欠片に寄りかかり、体のあちこちを怪我していて頭から額から血が垂れ荒い呼吸をし
ていたことだ。





ライとカレンの関係はただの敵同士というシンプルな関係ではなかった。


(少なくとも私はそう思ってる・・・)


謎の美少年。

彼に租界を案内していた時、反ブリタニアのテロリストに襲われ、ライがあの無双を
操る姿を見て、あの時迷わずに仲間に無理やりにでもいれてれば二人は対立することが
なかっただろう。




だがカレンはライを黒の騎士団に入れなかった。


理由はいたってシンプル。



ライが傷ついたり人を傷つける姿を見たくなかったからだ。



名前を呼ぶとふわっと毛先をなびかせ、綺麗な表情で微笑むライ。

何も知らない彼は静かにカレンの後を付いて来る。

綺麗なものが好きで、前庭園の花の中で眠っていた。


カレンはライのことが好きだった。


ライの前でカレンは『カレン・シュタットフェルト』ではなく『紅月カレン』でいら
れた。




だがライは軍に入った。


それでもカレンとライの関係は変わる事は無かった。









そしてそのライが今目の前で青白い顔をしている。



「ライ、ライっ!!」



カレンが何度も名前を呼ぶとライがゆっくりと目を開けた。


「・・・か、れ・・ん・・?」



紡ぎ出した声に少しの安堵感を抱きつつカレンはライの怪我の様子をみた。


幸い激しい出血は無い様だ。

「良かった・・・」



「か・・れ、・・・たり・・は・?」

「えっ?」

ライの掠れ掠れの声を聞き取れずカレンは耳を彼の口元に近づけた。




「・・ざ、くと・・ゼロ・・は・?」



「っ!!」



二人が対立する場面が頭に鮮明に流れる。



カレンの表情を見てライはカレンの手をぎゅっと握った。


そしてライが目を瞑ったとき、ライの額が光り赤い模様が浮かび上がった。

「ライ!?」


カレンはその瞬間そのイメージがどこかへ抜けて行く感覚がした。



そして同時に浮かび上がる一人の少年の映像。





後姿の少年はどこか遠くを見ているようで小さな少女が後ろから呼びかけている。




その声に気がついて少年が振り向きかけたと思った瞬間、映像は消えた。


そして同時に手に冷たい感覚がした。



「あ・・・嘘、だ・・・う・・そ・・」



はっとして目をライに向けると







「っ・・・ライ・・・」




ライは泣いていた。





ライはいつも自分より他人を優先していた。







常に頭にあるのは仲間のこと。



前に何でそんなに他人を優先するのか聞いたら彼は少しさびしそうな顔をして答えた。

『僕が一番守りたかった人を守れなかったことがあったんだ

 だから今度こそ守れるように・・・ね・・・』










「るるー・・ゅと、す・・ざくが・・・」


カレンは瞬時にライに興ったことを理解した。



さっきの映像がすべてライに流れたのだ。

ライが手を握ったあれですべてが。









体ががたがたと震えさせ瞳からあふれ出るものは無色の大粒。








そんなライの姿を見た瞬間、カレンは衝動的にライを抱きしめていた。










「・・・大丈夫だから・・・」



カレンの声はとても優しいもので、ライを落ち着かせるものだった。



「・・かれ、・・ん・・?」



「私があの二人をどうにかする。」


それは自分自身に対する決意。

皆、目指すものは同じ。



平和な世界。








そしてカレンの望む世界は




「だから、ライ一緒に黒の騎士団で手伝って欲しいの。」








ライはほんの少しだけ微笑み、ゆっくり口を開いた。。




「・・・うん・・」








彼が笑っていられる世界のためにも。
































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アンケートでカレライが人気あったので試しに作ってみたのですが・・・・


カレライでもライカレでもないかも・・・




たぶんこの後ライはぼろぼろになったクラブに輻射波動をつけてルルーシュを守るに
違いない・・・



なんて妄想です



































































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